闇夜に輝く
第52章 捜査
しかし、10分程してまた電話が鳴る。
またしても警察らしかったが、今度はちゃんと話のわかる人だったようで、坂東さんも穏やかに対応していた。
「はい、はい。捜査機密の関係で、なるほどそうだったんですね。最初からそう言ってくださいよ。こちらも失礼をしました。確かにツカサはうちの店に在籍していた事実はあります。けれどある日、店を無断欠勤してそのまま音信不通です。すでに当社の規定に則って除籍となっております。担当ですか?担当はまだこの店に在籍していますが、今外出中です。5分後には戻ります。お手数ですが再度掛け直して頂けますか?」
目の前の担当ボーイである海斗を見ながらシレッと嘘をつく坂東さん。
そのまま電話を切った。
坂東さんが聞いた話によると、どうやらツカサさんが何かしらの事件に関わっているか巻き込まれているらしい。
その裏取りの電話のようだ。
「また、電話がかかってきたら海斗に代わるかもしれない。けど、ツカサの事で何か知っていることがあっても下手な事は言うなよ」
「わかりました」
「あ〜、なんか面倒くさいことになりそうだなぁ」
坂東さんはそうぼやきつつ、キャッシャー内のキャストの履歴書などの資料が入った戸棚をゴソゴソと漁り始めた。