闇夜に輝く
第52章 捜査
ツカサさんは海斗の担当キャストだったが、今年の初めに同伴トラブルに巻き込まれてそのまま店を飛んでしまっていた。
その後ツカサさんが何をしているのか誰も知らないはずだった。
その時、再び電話が鳴る。
一瞬海斗と目を合わせた後、坂東さんはゆっくりと受話器を取る。
「クラブニューアクトレスですが…、あ、はい。そうです。はい。ちょっとそれは個人情報なのでお答えするのは難しいです。営業に必要な関係書類は全て所轄の警察署に提出しています。そちらで確認いただけないでしょうか。それから…あれ?切れた」
またしても警察からの電話だったようだが、何とも話が噛み合わないまま、勝手に電話が切れてしまったようだ。
坂東さんは不機嫌な態度で受話器を置く。
「ちっ、何なんだ。ホントに…」
坂東さんが悪態をついた瞬間、また電話が鳴ったので面倒そうに受話器を取る。
あまりのしつこさに流石の坂東さんもぶっきらぼうな電話対応となる。
「はい。そうですけど。何度も何度も何なんですか?捜査協力はわかりましたって。だけどちゃんと話してもらえないと、協力も何もできないでしょう。あ?なんだその言い方は!こっちも業務中なんですよ!つーか、お前よお、警察だかなんだか知らんがそれが人に物を頼む態度か!もっと話のわかる上の人間がかけてこい!バカヤロー!」
最後はブチ切れてしまい、ガチャンと叩きつけるように電話を切った。
「あー、ムカつく!ほんとあいつらの選民意識には虫酸が走る。警察って名前を出せば一般市民が萎縮して言いなりになるとでも思ってんのか。街のお巡りさんはいい人が多いけど、刑事って奴は公権力を笠に着た虎の威を借る狐そのままだな」
そう言って坂東さんは何事も無かったかのように営業用のレジ金の確認作業に入った。