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蜜の誘い

第15章 亜美と由香里

梅雨が明けた土曜日。
休日だというのに夫は朝から会社へと出かけた。
まあいつもの事だし、逆に家に居られても困る。

「さて…10時か…」

携帯を取り出し、いつものメッセージを彼女に送った。

"特別レッスンに来る?"

数秒もしないうちに返信が来る。

"は〜い♡もちろん♡"

私は、速水由香里。37歳の主婦です。
自宅で英会話の個人教室をしています。
土日は教室もお休みなのですが…

"特別レッスン"とは、「夫が不在になった」という暗号です。

鏡の前で髪を整え、薄く口紅をひき直す。
年甲斐もなく胸が高鳴る。

早く……
早く逢いたい…

……

ピンポーン♫

待ち侘びていたチャイムが鳴る。

フゥッ……玄関を開ける前に気持ちを落ち着かせようと小さく息を吐いた。

ガチャ…

「いらっしゃい。さぁ、入って…」

玄関の前で可愛いらしく微笑む彼女を家の中へと招き入れた。

山口亜美ちゃん。
17歳の高校2年生だ。

「お邪魔しまぁす」

玄関の扉を閉めると亜美ちゃんが私の腕にそっと寄り添ってくる。

「もう…甘えちゃって…」

教室を兼ねるいつものリビングを素通りして、まっすぐに夫婦の寝室へと向かった。

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