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失くした恋の癒し方

第2章 失恋の忘れ方

私達はマスターの目を盗んで口付けを交わし…

カウンターの下できつく指を絡ませ…

他愛ない会話で笑いあった…


あの頃は毎日が幸せで、カレに会う日には飛び切りお洒落をした。



それなのに…――

今の私はまるで別人のように疲れきっていて、輝きを無くしてしまった…

"不幸な女です!"
って顔をしている。

そんな事を考ながらメニューを見ていた…


「今日は何を作ろうか?
傷心の姫様!?」

そんな私にマスターが明るく声を掛る。

いつもタイミングが良い。

「ねぇ…マスター…

私、恋を失うことがこんなに苦しいなんて思わなかったわ…
カレを忘れられないまま年をとって、きっと嫉妬深くて魅力のないオバサンになるような気がするわ…」


そんな嘆きと大きな溜め息が出た。


「そんなことないさ。
魅力的な女性だよ君は!」

イケメンマスターに真面目顔で甘い言葉で慰められてもドキドキもしないなんて…


やっぱり私の心はもうときめきを無くしてしまったのだろう…


「カクテル…
お任せします…」

そう言ってまた溜め息を付いていた。




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