失くした恋の癒し方
第5章 恋の行方
大きな声で笑いすぎて、なんだか幸せな気持ちになって…
涙まで流れてきた…
ここまで、穏やかな気持ちになるのはなぜ?
自分をさらけ出してしまえる安心感は…何処から来るのだろう
ハンカチで涙を拭きながら笑う私を穏やかに見つめるマスター。
「やっぱり麗華ちゃんには笑顔が似合うよ。
今度は新しい彼とおいで。
独りでここに来る度に寺嶋を思い出すでしょ?
そしたら奴の事をいつまでも引き摺る…
ここで、彼との新しい思い出を始めなよ!
ね!」
「………」
私は何も返せなかった…
私が本気で谷原さんを好きになれないでいるのは、まさにマスターの言うように、独りでここに来てカレの影を追っているから…
忘れようと一生懸命に足掻がいて、忘れないようにしてしまっているから…
その事実に今頃気付くなんて…
「…うん…
今度は彼と…
彼と来ます――」
私の言葉に、マスターは笑顔で頷いた。