齧りかけの林檎
第8章 ● 君の連絡先 ♂side
おれと彼女との顔がすごく近くて、
すっごくドキドキしてたけど
このままキスできねぇかな、
なんて考えてた。
あと少しで唇が触れる。
焦るなって思っていたのに、早く彼女をおれのものに、したい。
バチッ!
彼女の左手が、おれの目を塞いだ。
ちょ、見えない!!!
ぐいぐいと離されるように押されて
「な、鍋ならいいよ!
じゃ、じゃあね!
お、おおおおおやすみなさいっ!!!」
勢いよく繋いでいた手が離されたかと思うと、
彼女は一目散にマンションの中に入っていった。
キスしそこねたぁああぁ!!!
おれはそのまま
地面に座り込んで
ガックリと肩を落とした。
【第8章 君の連絡先 ♂side END】