齧りかけの林檎
第14章 ● 君の答え ♀side
「気付いたら、
ずっと目で追ってて、
ゆりさんに逢いたくて
図書館に通ってた」
「し、知らなかった」
「だって、その時に
もし声かけてたら怖くない?」
確かに、怖かったと思う。
知らない人、
それもこんなかっこいい高校生に
声なんてかけられたら、
即、逃げていただろう。
「おれ、片思いなんてはじめてで
どうしたらいいかわかんなくて・・・」
歩くんが、ぐっと体重をかけてくる。
「ねぇ、ゆりさん?」
「はい・・・」
「すっげぇ、すき」
蛇口から流れ続ける水だけを見つめる。
わたしの耳に届いた言葉は、
本当、なの?