神隠しの杜
第3章 神隠しに遭った少年
隼政はふと思った。
いくらなんでも、管理人のプロフィールくらいはあるだろうと。自己紹介は常識だ。
「プロフくらいはあるよな?」
「まあ、あるにはあるんだけど……ハンドルネームと意味深な言葉しかないんだよね」
「男か女かもわからないのかよ?……で、ハンネと意味深な言葉って?」
雪芭は近くにある緑茶のペットボルを手に取り、一口飲む。
「ハンドルネームは、彼岸花。
意味深な言葉は、神隠しは終わらない――だって」
再び沈黙がおりた時、隼政はぎょっとする。
栗色のボブに肩だしの長袖、短パンの水露(ミツユ)が勝手に隼政の部屋に入って来た。
季節感を気にしない水露は、常に世間とはずれた格好をしている。
「はや、いい加減頼んだ雑誌買いに行きなさいよ!!!」
受話器越しに聞こえた水露の叫び声に、雪芭は思わず顔をしかめた。
隼政も負けじと言い返す。
「水露姉が買いに行けばいいだろ、大体彼氏いるんだから彼氏に頼めよなっ」
密かに雪芭はため息をついた。隼政の両親は離婚していて、姉の水露とその彼氏真冬(マフユ)と一緒に住んでいる。
ケンカは日常茶飯事と聞いているし、実際にこの目で見ているから今さら驚きもせず、雪芭は言い合いが終わるまで携帯をいじって待つ事にした。
相変わらず騒がしい姉弟である。
いくらなんでも、管理人のプロフィールくらいはあるだろうと。自己紹介は常識だ。
「プロフくらいはあるよな?」
「まあ、あるにはあるんだけど……ハンドルネームと意味深な言葉しかないんだよね」
「男か女かもわからないのかよ?……で、ハンネと意味深な言葉って?」
雪芭は近くにある緑茶のペットボルを手に取り、一口飲む。
「ハンドルネームは、彼岸花。
意味深な言葉は、神隠しは終わらない――だって」
再び沈黙がおりた時、隼政はぎょっとする。
栗色のボブに肩だしの長袖、短パンの水露(ミツユ)が勝手に隼政の部屋に入って来た。
季節感を気にしない水露は、常に世間とはずれた格好をしている。
「はや、いい加減頼んだ雑誌買いに行きなさいよ!!!」
受話器越しに聞こえた水露の叫び声に、雪芭は思わず顔をしかめた。
隼政も負けじと言い返す。
「水露姉が買いに行けばいいだろ、大体彼氏いるんだから彼氏に頼めよなっ」
密かに雪芭はため息をついた。隼政の両親は離婚していて、姉の水露とその彼氏真冬(マフユ)と一緒に住んでいる。
ケンカは日常茶飯事と聞いているし、実際にこの目で見ているから今さら驚きもせず、雪芭は言い合いが終わるまで携帯をいじって待つ事にした。
相変わらず騒がしい姉弟である。