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神隠しの杜

第8章 奇妙な現実

大通りから外れたところにある小さな木造の一軒家に、慌ただしく駆け込む。



「雪芭!!!」



自分の声だけが虚しく響く。



「…………雪芭、くそっ!!!」



雨芭にとって、神隠しは悪夢でしかない。



悪夢を繰り返し繰り返し、リピートしてるかのような気分になる。



出口の見えない世界。



「神隠しから例え戻る事ができても、同じ時間、同じ場所、同じ世界とは限らない……例え同じでも歪んでしまった世界か、まったく異なる世界のどちらかだ……」



雨芭は振り向きもせず呟いた。






「……水露も、か?」

「そうね」






水露はあっさり肯定する。






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