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神隠しの杜

第1章 迷い子

冬場の薄暗い空の下いつもの三人で背中を丸めながら歩く。



防寒具にコートとマフラー、それに手袋をしていてもやはり寒く、吐く息も白い。



「あーあ、田舎だからコンビニなんて大通りしかないし」

「寄り道は学校から禁止されてるじゃないか」



歩は大きくため息をついた。



立ち寄りで唯一許可されているのは、図書館だけだった。教養に役立つものとして、授業にも読書の時間が組み込まれるくらい歩たちの通う学校は本を大事にしている。



隼政は一年生と二年生の冬場の時も決まって同じ事を言っていた。



夏生まれの隼政は暑さに強く寒さには弱いため、学校が休みになればいいのにと、冬場は毎日のように愚痴をこぼしているくらい冬が苦手で、コンビニを避暑地扱いしている。



正確に言えば、避寒地になるかもしれないが。



いつもの別れ道の目印としてある、隠れ神社の前で歩は隼政と雪芭と別れた。



そこからの記憶が、歩にはなかった。



綺麗に記憶が途切れていた――――



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