神隠しの杜
第14章 繋いだ命の対価
「緋葉」
名前を呼ばれた方を振り返る。そこに立っていたのは、緋夢の村で唯一仲のいい雨芭だった。
藍色の着物の袖を風が揺らす。
「今日も行くだろ、いつもの場所」
「ごめん、今日は――」
「あ――はいはい、わかってるよ。巫女様に会うんだろ、どうせ」
「ああ」
あまりにも嬉しそうに頷く緋葉にこれ以上何も言えず、雨芭が行けばと促すと緋葉は頷きまっすぐに駆けていった。
「…………不気味な色の空、だな」
血のように赤い空。
それが嫌な予感を掻き立てるのだろうか、雨芭の中から不安が消える事はなかった。
名前を呼ばれた方を振り返る。そこに立っていたのは、緋夢の村で唯一仲のいい雨芭だった。
藍色の着物の袖を風が揺らす。
「今日も行くだろ、いつもの場所」
「ごめん、今日は――」
「あ――はいはい、わかってるよ。巫女様に会うんだろ、どうせ」
「ああ」
あまりにも嬉しそうに頷く緋葉にこれ以上何も言えず、雨芭が行けばと促すと緋葉は頷きまっすぐに駆けていった。
「…………不気味な色の空、だな」
血のように赤い空。
それが嫌な予感を掻き立てるのだろうか、雨芭の中から不安が消える事はなかった。