神隠しの杜
第14章 繋いだ命の対価
民家を抜け畑の地帯を抜け、祠を目指す。小さな祠には何の神様を祭ってあるのか、どんなに聞いても村の誰も答えてはくれなかった、両親さえも。
畑を抜けたちょっと先に、祠はあった。その前に鳶色の髪の美しい少女が立っていて、緋葉が名前を呼ぶ前に振り向き微笑む。
「緋葉」
「ごめん待たせたな、冬音」
冬音は首を横に振った。
「いえ、あなたを待つ事も楽しいです」
「そうか。彼岸花、綺麗だな……冬音がここへ来た時も、彼岸花が咲いていた」
「そうですね……あの、緋葉」
美しい少女の顔が何かを訴えるように急に歪み、緋葉が何かを言おうとした時だった。
「あかは!!!」
二人同時に振り向き、冬音が思わず口元を両手で押さえた。
「雨芭…………?」
顔は腫れ上がり手も足も傷だらけで痛々しかった。緋葉は呆然と雨芭を見つめ、ぽつりと名前を呟く。
今頃雨芭は畑仕事を手伝っているはずで、なのに、傷だらけで雨芭はここに現れて――――
「一体何が…………」
緋葉は息をのむ。
何が起きているのかわからないが、何かよくない事が起こっているのだと肌で感じ取った。
畑を抜けたちょっと先に、祠はあった。その前に鳶色の髪の美しい少女が立っていて、緋葉が名前を呼ぶ前に振り向き微笑む。
「緋葉」
「ごめん待たせたな、冬音」
冬音は首を横に振った。
「いえ、あなたを待つ事も楽しいです」
「そうか。彼岸花、綺麗だな……冬音がここへ来た時も、彼岸花が咲いていた」
「そうですね……あの、緋葉」
美しい少女の顔が何かを訴えるように急に歪み、緋葉が何かを言おうとした時だった。
「あかは!!!」
二人同時に振り向き、冬音が思わず口元を両手で押さえた。
「雨芭…………?」
顔は腫れ上がり手も足も傷だらけで痛々しかった。緋葉は呆然と雨芭を見つめ、ぽつりと名前を呟く。
今頃雨芭は畑仕事を手伝っているはずで、なのに、傷だらけで雨芭はここに現れて――――
「一体何が…………」
緋葉は息をのむ。
何が起きているのかわからないが、何かよくない事が起こっているのだと肌で感じ取った。