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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

薬品が入った棚……机……ベッド……
ダメだ!
ここに武器になるものなんてっ……



──パリンッ!



その時、
扉の刷りガラス部分が激しく割られた。



「キャアアアアッ!!」

「いやぁぁぁぁ!!」

「…っ!!」



割れた部分から、灰色の腕が伸びてくる。



『ガァァァァァッ…!!』



腕を伸ばして激しく空(くう)を切る手。
そしてその隙間から顔を出そうとする"奴"。



「つくし先生! このままじゃ奴がっ……」



オレがそう叫ぶと同時に、つくし先生は薬品が入ってる棚をスライドした。
そして液体の入ったボトルを握りしめる。



「え、それって……」



その液体は傷口を消毒するオキシドールだった。
ボトルのキャップを外しながら、つくし先生は奴に向かって歩いていく。



『ガァァァ!!』


──ガタガタガタッ!!



つくし先生に気づいた奴が今にも飛びかかる勢いで、更に激しく腕を振った。
ミシミシと扉が軋む。


ギリギリまで奴に近づくと、つくし先生はオキシドールを奴の腕と顔めがけてぶっかけた。



『ギャアアアァァァァッ…!!』



予想通り、奴はオキシドールをかけられてのたうちまわる。
悲痛な叫びが廊下に響いた。


だけど奴は苦しみから逃れるためか、身体ごと扉に体当たりしてきた。



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