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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

何の音かと耳を澄ましていると、保健室の扉の磨りガラス部分に人影が浮かび上がった。



「…っ…」



その場にいる全員、その人影に集中する。
恐らく今扉の向こうにいる奴は先生でも生徒でもなくて…



『ガァァァァ…』



正解だよ、と言わんばかりにソレは低く唸る。
さっきの奴と同じ声だ。
何かを引き摺る音はピタリと止んだ。


嫌な予感がした、

──その時。



ドンッ!


「!」



奴が保健室の扉を激しく叩き始めた。



ドンッ! ドンッ!


「……っ……」



オレたちは各自顔を見合わせる。
みんな恐怖を感じて、窓際へと身を寄せた。



「……いやっ、いや! なんなのよ、一体……!」



たまりかねて、女子が両耳を塞いで座り込む。



「声を出さないで! 奴らが通り過ぎるまで我慢するのよ!」



つくし先生が小声で叱咤する。
その間も保健室の扉は激しく叩かれ、今にもぶち破られそうな勢いだった。



ドンッ! ドンッ! ドンッ!



「…っ…」



だめだ、奴はオレたちがここにいること気付いてる。
オレは保健室の部屋を見渡し、何か武器になるものはないか視線を巡らせた。



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