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ドラクエらんど

第17章 選ばれしもの

「なんでもないよ」



僕はムスッとして、ひなた少年に背を向けた。



イケメンで周りに愛されてる君には、僕の悩みなんてわからないだろうよwwww

何をやっても空回り…
どうせ僕はダメ男なんだぁぁぁぁぁぁ!



「……さん……」



背後でひなた少年の声が聞こえた。



なんだよ…
僕は今から一人淋しく涙で枕を濡らしながら寝るんだよ、邪魔すんなw



「……アキラさ……」

「だからなんだよっ…」



あまりにしつこく呼ぶから、ついイライラしながら振り返ったら……



「!?」



ど、どうなってるんだ……
ひなた少年の下半身がなくなってる!!



いやっ…
よく見ると地面に黒い穴があって、そこに身体が沈んでいる!?



「ひなたくんっ!!」

「……アキラさっ……」



必死に手を伸ばすひなた少年の腕を、僕は慌てて掴んだ。



「な、なんだよ、これっ……」

「わからないっ、急に…!!」



引き上げようとするも、全くびくともしない。
どんどんひなた少年の身体が地面に沈んでいく。



「だ、誰かっ……! 誰か……!!」



だめだ、僕の力じゃ……!!



僕は必死に両手でひなた少年の腕を掴み踏ん張った。



「──アキラ殿!?」



僕の叫びを聞きつけて、宿屋の扉がバンッと開く。



「──レイン!!」



ひなた少年が叫んだ。



だけどその瞬間、ひなた少年は──いや、僕たちは、勢いよく黒い穴へと落っこちてしまった…。







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