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ドラクエらんど

第17章 選ばれしもの

「…なんだ、また演技か?」



あたしを冷めた目で見るれんじ。



「ちがっ…ゲホッ! これはっ…ゲホゲホッ!」



これは演技じゃない。本当に。
あたしたまにこうなるの。
一度咳が出たら止まらなくて…。



「お願……水っ……ゲホゲホッ!」



あたしは苦しそうに床に這いつくばりながら、れんじを見上げた。



「……待ってろ」



演技じゃないとわかってくれたのか、れんじはキッチンに向かった。



「……ゲホッ……ハァハァ……」



ふふ…そう、この咳は演技じゃない。
だから、今がチャンスなの…。



れんじが水の入ったコップを持って、あたしを抱き起こしてくれる。
あたしはポケットからある薬を出した。



「……持病の、薬なの……」



あたしはそれを水と一緒に口に含んだ。
そして────



「大丈夫か──んぅ!?」



れんじが口を開いた瞬間を狙って、あたしはれんじの唇にディープキスをした。



「ゴクン…!」



喉を鳴らしながら、れんじはそれを飲み込む。



「ふふっ、飲んじゃったね❤」

「お前っ……何を……」



れんじは鋭い視線であたしを睨み付けた。



「大丈夫、毒じゃないから安心して。少し経てば気持ちよくなるだけだから」



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