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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「メリークリスマース!!」
「なんか全然ノれないけどー」
「まあまあ、今日は楽しく過ごそーぜ」
「おまえはいつも楽しいだろ…」

クリスマスパーティーと言っても、結局は
いつもと同じ、しゃべってお菓子を食べて、
なんだかんだでダラダラと時間は過ぎていく。

「そろそろしようよ、プレゼント交換」
「賛成!しようぜ」

みんなそれぞれ用意した封筒を出した。
要が音楽をかける。
それが終わった時に手にしている封筒が
自分のだ。

「じゃあ回して」

本物が入っているわけではないのに、
なぜかわくわくした。

「なんかさ、これ考えてるとき、すごく楽しかったんだ。久しぶりに楽しかった」

真緒が封筒を回す手を止めずに言った。
まっすぐに切り揃えた髪の間から、
真緒の特徴的な目が見えた。
しっかり者で、昔から僕には容赦ない。
それは僕を対等に見ているからだと
真緒に言われたことがある。
流星には負けたくないんだ、と。

「流星は?楽しい?」

隣に座るのぞみが、僕の顔を覗き込んで
聞いた。

「うん。楽しいよ」
「良かった」

やっぱり、僕を励ますためのパーティー
なのか。
そんなこと、誰に聞いても否定するんだろう
けどな。
その時音楽が止まった。

「じゃ、せーので開けるのな」
「せーの!」

『大切な人を守る力』

そこには、僕の字でそう書かれていた。
それは、非力な僕がのぞむもの。
それさえあれば、何でもできると思っていた。
それが原動力となり命の限界ですら、
運命に逆らうことができる、と。
だけど運命は、どうしてもそれを僕から
奪おうとした。
違う手を使ってでも、奪おうとした。

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