
20年 あなたと歩いた時間
第1章 14歳
「さむ…」
朝起きて、部屋の窓を開けると
ひんやりした空気が流れてきた。
今日から冬だ、と思った。
時々のぞみは変わった表現をする、
と言われるもののうちのひとつだ。
昨日までのあの曖昧な気温は
誰が何と言おうと絶対に「秋」で、
今日のピリッとした気温は、
「冬」なのだ。
クローゼットから出しておいた冬服に
着替えてリビングに下りると
早朝会議があると言っていた父の姿は
もうなく、朝食がテーブルに
用意されていた。
パンを焼いている間に
ミルクティーを淹れた。
機械的にそれらを胃に収め、
時計に目をやるといつもより
三十分も早かった。
夏以来、
ずっと気持ちがすっきりしないまま、
その状態にもう慣れてしまっていた。
せめて髪型でも変えてみようと
肩まで伸びた髪をいつもの
ツインテールにせず、
ブラシで丁寧にとかすだけにしてみた。
することがなくなったので、
仕方なくローファーに足を突っ込んで
学校に行くことにした。
すれ違う高校生も、
冬服に身を包んで歩いていた。
少し、お化粧をしているのかも
しれないな。
二つ三つ年上なだけなのに、
すごく大人に見えた。
「早いじゃん。どうした?」
振り返ると流星がいた。
久しぶりに会ったような気がして
すぐに言葉が出てこなかった。
また背が伸びた。
体重が追い付かないのか、
少し痩せた印象を受けた。
制服のジャケットは着ずに
手に持っている。
いつもきちんとしている流星にしては
珍しく、シャツは少し皺が寄っていた。
「おはよ…久しぶりだね」
「そうか?毎日学校で会ってると思うけど?」
朝起きて、部屋の窓を開けると
ひんやりした空気が流れてきた。
今日から冬だ、と思った。
時々のぞみは変わった表現をする、
と言われるもののうちのひとつだ。
昨日までのあの曖昧な気温は
誰が何と言おうと絶対に「秋」で、
今日のピリッとした気温は、
「冬」なのだ。
クローゼットから出しておいた冬服に
着替えてリビングに下りると
早朝会議があると言っていた父の姿は
もうなく、朝食がテーブルに
用意されていた。
パンを焼いている間に
ミルクティーを淹れた。
機械的にそれらを胃に収め、
時計に目をやるといつもより
三十分も早かった。
夏以来、
ずっと気持ちがすっきりしないまま、
その状態にもう慣れてしまっていた。
せめて髪型でも変えてみようと
肩まで伸びた髪をいつもの
ツインテールにせず、
ブラシで丁寧にとかすだけにしてみた。
することがなくなったので、
仕方なくローファーに足を突っ込んで
学校に行くことにした。
すれ違う高校生も、
冬服に身を包んで歩いていた。
少し、お化粧をしているのかも
しれないな。
二つ三つ年上なだけなのに、
すごく大人に見えた。
「早いじゃん。どうした?」
振り返ると流星がいた。
久しぶりに会ったような気がして
すぐに言葉が出てこなかった。
また背が伸びた。
体重が追い付かないのか、
少し痩せた印象を受けた。
制服のジャケットは着ずに
手に持っている。
いつもきちんとしている流星にしては
珍しく、シャツは少し皺が寄っていた。
「おはよ…久しぶりだね」
「そうか?毎日学校で会ってると思うけど?」
