
20年 あなたと歩いた時間
第5章 20歳
「流星、今日何時頃帰る?」
「わかんねー、解剖実習、おれ達の班だけ遅れてたから、多分最終試問も最後なんだよな…七時までには行く!」
「じゃあ、先行ってていい?」
今日は久しぶりに四人が集まる。半年ぶりだ。
なのに流星は実習の試験終わりが
読めないらしい。
「乾杯してもいいけど、近況報告はおれが行ってからな!」
「はいはい。じゃあね、行ってきます!」
大学二年生になって、二ヶ月が経つ。
この春から、流星と私は一緒に暮らし始めた。
医学部の流星と、看護学部の私は
大学受験の頃など比にならないくらい
お互い忙しくなっていた。
すれ違いの生活が続いて、私達はそのことに
ストレスを感じるようになっていた。
忙しいことよりも、お互いがそばにいなくて
うまく行かなくなった。
それに気づいたのは、流星だった。
そのあとの行動の早さには、
目をみはるものがあった。
授業と実習、バイトに部活の合間を縫って
不動産屋をまわり、築三十年で三DKの部屋を
契約してきた。
その次の週には陸上部の仲間によって
引っ越しが完了し、私達の帰る場所は
同じになった。
流星は医学部の陸上部に入部した。
トラックを走る流星を久しぶりに見た。
どんなに疲れていても、試験が迫っていても
流星はグラウンドで走る。
嫌なことを振り切るためか、
ただの気分転換かはわからない。
流星の頭の中は、きっと色んなことで
いっぱいだったと思う。同じ家に住んでいても
会わない日はざらだった。
圧倒的に流星のほうが多忙だった。
それでも、玄関にある流星の靴や、
流しにある使い終わったマグカップ、
冷蔵庫に貼られたメッセージが
私を元気にしてくれた。
ある日、
『私は、流星を元気にしてあげられてる?』
と、冷蔵庫に付箋を貼った。
その翌日、大きなスマイルマークが
返事として貼ってあった。
そんな生活だった。
「わかんねー、解剖実習、おれ達の班だけ遅れてたから、多分最終試問も最後なんだよな…七時までには行く!」
「じゃあ、先行ってていい?」
今日は久しぶりに四人が集まる。半年ぶりだ。
なのに流星は実習の試験終わりが
読めないらしい。
「乾杯してもいいけど、近況報告はおれが行ってからな!」
「はいはい。じゃあね、行ってきます!」
大学二年生になって、二ヶ月が経つ。
この春から、流星と私は一緒に暮らし始めた。
医学部の流星と、看護学部の私は
大学受験の頃など比にならないくらい
お互い忙しくなっていた。
すれ違いの生活が続いて、私達はそのことに
ストレスを感じるようになっていた。
忙しいことよりも、お互いがそばにいなくて
うまく行かなくなった。
それに気づいたのは、流星だった。
そのあとの行動の早さには、
目をみはるものがあった。
授業と実習、バイトに部活の合間を縫って
不動産屋をまわり、築三十年で三DKの部屋を
契約してきた。
その次の週には陸上部の仲間によって
引っ越しが完了し、私達の帰る場所は
同じになった。
流星は医学部の陸上部に入部した。
トラックを走る流星を久しぶりに見た。
どんなに疲れていても、試験が迫っていても
流星はグラウンドで走る。
嫌なことを振り切るためか、
ただの気分転換かはわからない。
流星の頭の中は、きっと色んなことで
いっぱいだったと思う。同じ家に住んでいても
会わない日はざらだった。
圧倒的に流星のほうが多忙だった。
それでも、玄関にある流星の靴や、
流しにある使い終わったマグカップ、
冷蔵庫に貼られたメッセージが
私を元気にしてくれた。
ある日、
『私は、流星を元気にしてあげられてる?』
と、冷蔵庫に付箋を貼った。
その翌日、大きなスマイルマークが
返事として貼ってあった。
そんな生活だった。
