
20年 あなたと歩いた時間
第7章 命のはじまりと終わり
年が明けて、一月十五日の成人式にあわせて
私達は再び地元に帰った。
この日は久しぶりに、中学校の同窓会も
開かれることになっていて、
懐かしいメンバーが揃う。約五年ぶりだ。
昼間、私はおばあちゃんが用意してくれた
振り袖を着て写真を撮った。
流星はスーツを来て迎えに来てくれた。
それから同じように振り袖姿の真緒と、
チャラい出で立ちのまま袴をはいた要が揃うと
写真屋さんのおじさんは、せっかくだからと
四人の写真を撮ってくれた。
「男性陣は両手に花だね。こんなにきれいな彼女たちがいてさ。大事にするんだよ。ずっと仲良く過ごせるといいね」
それを聞いて要が、
「かなり棘のあるバラだけどな」と言って
また真緒を不機嫌にさせた。
一旦家に帰り、
着替えて駅前の待ち合わせ場所に着くと、
大きな時計の下で
流星は本を読んで待っていた。
少し離れたところから見ても
長身だとわかる。
夏に部活で焼けた肌はもとの色に戻り、
癖のないさらさらの髪が時々吹く風に揺れた。
整った目鼻立ち、広い肩と背中、長い腕、
かたい腹筋。私よりも少し高い体温。
流星に抱かれて知った、流星の体。
かけよって、流星、と今まで何度も
呼んできたその名前を呼ぶ。
本から顔をあげて、私を見つけて、
笑うその顔が大好き。
いつものように私の手をとり、
長い指を絡めて歩き出す。
「『のぞみちゃんは、ぼくのおよめさんになるんだよ』って言ったこと、覚えてる?」
「え?何だよ、いきなり。そんなこと言ったっけ」
それは、流星との最初の記憶。
そう言った流星の声だけを覚えている。
「夢だったのかな…あ!もう誰か来てるよ。ねえ、あれ松井くんじゃない?」
「え!嘘だろ、あいつあんなにイケメンだったか?」
待ち合わせの居酒屋の前に
ちらほら集まり出した友達を、
私と流星は少し離れた場所から見ている。
張り切って一番乗りだったのが恥ずかしくて
もう少し集まってから顔を出そうと
言い出したのは流星のほうだ。
松井くんは高校も同じだったので、
見間違えることはないはずだ。
でもメガネを外して髪が伸びて、少し、
いや、かなりのイケメンに変身している。
「あー、腹減った。先に店に入りたいな」
流星が店に向かって歩き出したその時、
私は急に吐き気がして流星の腕に
しがみついた。
「のぞみ…?!」
「…気持ち悪い…」
私達は再び地元に帰った。
この日は久しぶりに、中学校の同窓会も
開かれることになっていて、
懐かしいメンバーが揃う。約五年ぶりだ。
昼間、私はおばあちゃんが用意してくれた
振り袖を着て写真を撮った。
流星はスーツを来て迎えに来てくれた。
それから同じように振り袖姿の真緒と、
チャラい出で立ちのまま袴をはいた要が揃うと
写真屋さんのおじさんは、せっかくだからと
四人の写真を撮ってくれた。
「男性陣は両手に花だね。こんなにきれいな彼女たちがいてさ。大事にするんだよ。ずっと仲良く過ごせるといいね」
それを聞いて要が、
「かなり棘のあるバラだけどな」と言って
また真緒を不機嫌にさせた。
一旦家に帰り、
着替えて駅前の待ち合わせ場所に着くと、
大きな時計の下で
流星は本を読んで待っていた。
少し離れたところから見ても
長身だとわかる。
夏に部活で焼けた肌はもとの色に戻り、
癖のないさらさらの髪が時々吹く風に揺れた。
整った目鼻立ち、広い肩と背中、長い腕、
かたい腹筋。私よりも少し高い体温。
流星に抱かれて知った、流星の体。
かけよって、流星、と今まで何度も
呼んできたその名前を呼ぶ。
本から顔をあげて、私を見つけて、
笑うその顔が大好き。
いつものように私の手をとり、
長い指を絡めて歩き出す。
「『のぞみちゃんは、ぼくのおよめさんになるんだよ』って言ったこと、覚えてる?」
「え?何だよ、いきなり。そんなこと言ったっけ」
それは、流星との最初の記憶。
そう言った流星の声だけを覚えている。
「夢だったのかな…あ!もう誰か来てるよ。ねえ、あれ松井くんじゃない?」
「え!嘘だろ、あいつあんなにイケメンだったか?」
待ち合わせの居酒屋の前に
ちらほら集まり出した友達を、
私と流星は少し離れた場所から見ている。
張り切って一番乗りだったのが恥ずかしくて
もう少し集まってから顔を出そうと
言い出したのは流星のほうだ。
松井くんは高校も同じだったので、
見間違えることはないはずだ。
でもメガネを外して髪が伸びて、少し、
いや、かなりのイケメンに変身している。
「あー、腹減った。先に店に入りたいな」
流星が店に向かって歩き出したその時、
私は急に吐き気がして流星の腕に
しがみついた。
「のぞみ…?!」
「…気持ち悪い…」
