秘密の兄妹
第19章 狂った宴
夕飯を2人で食べた後、食器の洗い物をし終えた紫織とソファーに並んで座って、冷たい麦茶を飲む。
「…紫織、吐き気は?」
俺が隣にいる紫織に尋ねると、紫織はニコッと笑う。
「大丈夫。さっき食べたのは薄い味付けのお粥だったし、これからはもう、毎日ちゃんと食べられると思う。」
そう答えて、きめ細やかな白い手でコップを持ち、熟れた唇で麦茶を飲む紫織の口元を、俺はじっと見つめる。
「……………」
俺は紫織の後頭部に片手を伸ばし、サラサラな髪を優しく撫でながら自分の方へと紫織の顔を向かせた。
「……なあ、紫織。
さっき父さんと母さんの寝室で俺とヤル前に、お前
【私に酷いことして】って俺に言ったよな?」
「…え?」
紫織は目をぱちくりと大きく開くと、少し俯いて、恥ずかしそうに頷く。
「うん…」
俺は髪から手を頬に移して、次に紫織の顎をぐいっと掴む。
互いの瞳が絡み合う。
「男の前で、ああいう言葉を軽々しく口にするな。
俺みたいな悪い男の前では特にな。
現に、いま俺は自分の都合のいいように解釈してる…」
「?どういうこと…?」
言っている意味が分からないとばかりに首を傾げる紫織に、俺は小さく溜め息を漏らす。
「たぶん、俺は今夜お前に酷いことをする…
お前が涙目になって恥ずかしがるようなこと、たくさんな。
お前が泣き叫んで【嫌だ】とか【やめて】とか、いくら俺に懇願しても絶対に許してやらない。
…けど、なるべく優しくする……
だから、俺のこと全部受け入れてくれ。」