秘密の兄妹
第19章 狂った宴
紫織は俺の目をじっと見つめたまま暫く黙ると、目を細めて笑った。
「お兄ちゃんは、私がいくら嫌だとか言っても、聞き入れてくれたことなんて一度もないでしょ?
いいよ。私のこと好きなようにして。
私がお兄ちゃんにしてあげられることは何でもするし、お兄ちゃんが悦ぶようなことなら何でもする。
それが私の幸せだから……
私のことを幸せにできるのも、不幸にできるのも、世界中でお兄ちゃん一人だけ。
この10日間で、その事が嫌というほどよく分かった…」
そう言いながら微笑む紫織の体を、俺はぎゅっと抱きしめた。
胸の中の暖かな温もりに、身体中が性感帯なんじゃないかと思うほど痺れて、ぞくぞくと下腹部が熱を持ち、早く早くと叫び声をあげる。
紫織から体を離し、麦茶を一気飲みして、俺は立ち上がる。
「…さっきの続き、父さんと母さんの寝室でやろう。
もう、シーツも汚れてることだし、俺の部屋よりベットも広い。
俺は2階の自分の部屋から、コンドーム持ってくるから、お前は寝室に水とか…何か飲み物をたくさん用意して待ってろ。
今夜は俺が満足するまで解放してやらないから、途中で喉が渇くだろうしな…」
「う、うんっ」
紫織が顔を真っ赤にして返事をするのを確認すると、俺は喉の奥でゴクリと唾を飲み込んで、2階の自分の部屋に向かった。
★★★★★★
「…コンドームの数は、これだけあれば足りるか……」
ベットの下に隠してあるコンドームの入った箱を引きずり出して、その箱ごと手に取る。
俺は、箱を持つ手にぎゅっと力を込めて目を閉じた。
「…父さん、母さん、分かってるよ……
俺は狂ってる
狂ってる…
兄貴としても、男としても最低だ。
でも、
ちゃんと別れるから……
来年の3月には紫織ときちんと別れる……。
だから、高校生活が終わるその瞬間まで、この甘美で幸せな夢を見させてくれ……」
深く呼吸をして、目をゆっくりと開ける。
―さあ、狂った宴の始まりだ―