この日この時この瞬間。
第36章 遠い存在
君が遠く思えた.
いつもそうなんだ.
この感覚
前にもあった――…
いつも君が遠退いていくのに
焦っていた.
君は僕がいなくても
大丈夫だった.
僕は正反対だけどね.
君は僕がいなくても
笑っていた.
僕は正反対だけどね.
僕は君がいなきゃ
ずっと一人だったよ.
僕は君のおかげで
周りが色付いていくのが解ったよ.
でも
もう執着しない.
あれが幻だったのなら
再び覚醒する.
さよなら
暗い自分.
さよなら
冷たい自分.
さよなら
無口な自分.
さよなら
孤独に生きた日々.
今度はね
僕から信じるよ.
僕から探しだすよ.
君といるはずだった時間や
君と出会った場所とかは
もういちいち振り返らない.
前に進むには
自分を好きになるんだ.
遠くなる自分を引き戻し、
執着していた君に別れを告げる.
これでもう
本当に
さよならだ.