この日この時この瞬間。
第37章 透明
君は風のようだったね。
すぐに消え去ってしまって
また来る。
マイペースな人だった。
「自分勝手だな…」
と思ってたけど、
君は汚れを知らず、
美しさを保ち、
透明に輝いていた。
無色なわけじゃない。
ただ
透明という色に
全身染まっていた。
僕もなりたかったよ。
君のような綺麗な存在に。
僕もなりたかったよ。
君のようななくてはならない存在に。
灰色の僕を
君が君の色で洗ってくれた。
灰色の僕を
そっと抱き締めてくれた。
そこで人の温もりに触れた。
君に触れた。
今度は僕が
君を守るから。