春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第10章 目撃
企画部の面々は、家具・雑貨・グラフィックなどのそれぞれ専門分野に別れてるけど
マルチな才能を持つ遼くんは、カテゴリーに捉われず様々なデザインをしている。
今回は初のキッチンボード……即ち食器棚。
何度もダメ出ししてたこの仕上げ色が決まったら、いよいよ製品化に向けて動き出す。
楽しみだなぁ~~♡
「ありがとうございました。
では、私はこれで……」
「あ、ちょっと待って!」
立ち上がろうとした私を制止して、山田さんは思い出したようにポンッと手を叩いた。
「この前の納品書で確認したいことがあってさ」
「納品書、ですか?」
「うん。
今持ってるから、その書類を経理の人に渡してほしいんだよね」
「あ、了解しました」
「……とか言って、え~っとどこにやったかな……」
袖机に置いてあった分厚いファイルの中から、ゴソゴソと探し出す山田さん。
うちの会社に関係のない書類まで、ローテーブルの上に広げていく。
色見本をバッグにしまいながら、何気なくそれらに目をやると……