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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第12章 春の嵐


「……ん……」



優しい口づけ。


心臓がキュウッと締めつけられて、ドキドキが大きくなる。



「……好きだよ、春ちゃん」



甘い言葉も、宝物に触れるような手つきも


ユキの織り成すひとつひとつが、私の心を温めてくれる。


こんなにも、穏やかに過ごせる場所を


魔法のように、ユキは私へ与えてくれる。



「………っ」



唇を離して、確かめるように私の下唇を指でなぞると


肩に回していた左手を外して、ユキはふっと微笑んだ。



「実は、途中で忘れ物をしてたことに気付いてさ」

「……忘れもの?」

「うん、一度取りに帰ったから遅くなっちゃったんだよね」



さっきメモを閉まった方とは、反対側のポケットから


ユキは何かを取り出すと、ソファの前のテーブルに手を伸ばした。




……それは……



「はい、プレゼント」

「………!」

「子供っぽいけど。 キレイでしょ?」

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