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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第12章 春の嵐


……いっそのこと、嫌いになれたらどんなに楽だろう。


だけど


遼くんを知れば知るほど、もっともっと好きになってしまう。


私の心は、真っ直ぐ遼くんだけに向けられて


……遼くんを、想うだけで


こんなにも、涙が溢れてしまう。




「……春ちゃん」




震える私の手に、ユキの手が重なった。


ビクッと体が強張って、顔を上げると……




「泣かないで」


「…………!」


「春ちゃんが悲しいと、俺も悲しいから」




優しいユキの声。


頭のタオルを外して、ユキはにっこりと微笑んだ。




「辛いのに、話してくれてありがとう」

「………っ」

「気持ちは、そんな急に変える事は出来ないよ。
春ちゃんは間違ってない」



……ひとつひとつの言葉が、心にじんわりと沁み渡る。


とても7つも年下とは思えない。

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