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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第3章 8年めの片思い

「も~~ほんと大丈夫?」



フロアのドアを開けながら、沙月が心配そうに私の顔を覗く。


私、本当に朝から1人で騒がしいな……


肩を押さえて痛みに耐えながら、なんとか頷くと


沙月はIDカードをバッグから取り出して、ふっと笑った。



「春菜、今月の面接で正式に社員に昇格できるんでしょ?
しっかり気を引き締めなって!」

「…………!」

「良かったね~~♡
決まったら教えて、乾杯しようよ♪」



そ、そうだ!


沙月の言葉で、項垂れていた背筋をシャキーンと伸ばす。


勤退システムに翳す沙月のカードは、顔写真とバーコード入りで


社員番号4ケタと『店舗開発部』って所属部署が、しっかり明記されているけど


私のIDカードには、『企画部』という部署名の他は何も印字されていない。



………つまり



私はこの会社では、 “ 非正規社員 ” という立場であることを示している。



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