春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第13章 2人の秘密
その時
「はい、春ちゃん」
「………!」
ピタッと温かいものが頬に触れて、びっくりして視線を上げると
カフェのテイクアウトカップを持ったユキが、私を見て笑った。
「そんな泣きそうな顔しないで」
「………っ」
「ごめんね、驚かせて」
私の手の中に、ホットコーヒーを置くと
自分の分を飲みながら、ユキが隣りに座った。
……風が、ふわふわの髪の毛を揺らしている。
「……ユキ……」
綺麗な横顔を見つめて、そっと呼び掛けると
長いまつ毛を一度瞬きさせて
ユキは桜の木を見上げた。
「……姉貴とは、9つ歳が離れてるんだよ」
「………!」
「だから、あの人と姉貴は同い年で。
初めて紹介された時、俺は中学生だった」