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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第15章 少しだけ


.。.:* side 春菜 *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*



「……よし、これで全部かな」



4月最終週の水曜日、今日はGW前の祝日。


教授も他の助手さんもいない、静かな研究室。


段ボールの蓋をガムテープで止めて、私はふうっと息をはいた。



……もう、夕方の5時だ。


研究室の窓から見える空を、夕陽が真っ赤に染めていて


電気をつけていない室内も、ぼんやりとその色に包まれている。



「…………」



明日で、ここに来るのも最後。


4年間慣れ親しんだ場所には、たくさんの思い出が詰まっていて


そのひとつひとつを整理して片付けていると、寂しさがこみ上げてきてしまう。




……デスクの上に、ひとつだけ残した水族館のスノードーム。




これだけは、明日まで置いておきたい。


ズキンと痛む胸を押さえて、私は溜息を漏らした。

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