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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第16章 サヨナラ、春ちゃん


「……父さんが、母さんを見守るように

母さんが、父さんを癒すように

彷徨い、傷付いた心を救える人が

……必ずいる」


「………!!」


「だけどそれは、誰でもいいってわけじゃないんだ。

沢山いるかもしれないし、1人だけの場合もある」


「………っ」


「……たった、1人だけが

一筋の光を差し込める……

そんな奇跡が、あるんだよ」




……春風が舞って、金色の髪が揺れる。



握り締めた私の手を、更に強く包み込んで



ユキは



真剣な瞳で、私を真っ直ぐ見つめた。





「春ちゃん。

あの人を救えるのは、あんたしかいないんだよ」



「………っ」



「義兄さんの心を照らして、光となれるのは

きっと春ちゃんだけなんだ」





………そっと、手を離して



ユキは切なそうに微笑んだ。





「……そんな、気がするよ」


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