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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第16章 サヨナラ、春ちゃん


……目を瞑ったユキを、見ていられなくて


呼吸ができなくなるほど苦しくなって


私はそっと腕を伸ばして、ユキの手を握った。



……その手は、凍えてるみたいに冷たくて


今まで、ユキが抱えていた痛みが伝わってくるようで


もう、何も言葉にすることができない。




「……春ちゃん」




握り締めた私の手に、ユキがもう片方の手を重ねる。




「俺はずっと、ただそう願うだけで

修復するには蘇りしか無いって思ってたんだけど

……ひとつだけ、あったんだ」


「………!」


「解決に近付ける、唯一の方法」




その言葉で、ゆっくりと顔を上げると


ユキは私の手を握り返して、優しく笑った。

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