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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第3章 8年めの片思い

「面接なんてやんなくても、新年度の今日から昇格させたってよって言ってたんだけど。

手続きとか給料体系とか?

なんか色々段階を踏まないといけねぇんだってさ」


「……はい、それは私も承知してて……」


「俺が個人事務所でもやってりゃ、即決定なのにねぇ。

力及ばずで、ほんとごめんな」




整った鼻筋に右手を当てて、お詫びのポーズをとる遼くん。


………トクトクと、心臓の鼓動が早くなる。




「……遼くんほどの実力者なら

今すぐにでも、独立できるのに……」




思わずそう口から出ていて


名前を呼んでいることにも、敬語を忘れていることにも気付かなかった。


鋭い瞳をじっと見つめると、遼くんは笑いながら立ち上がる。




「無理無理。
金の管理とか特許申請とか、俺そーいうの一切できねぇもん」

「…………」

「会社に守っててもらった方が断然ラクだ。
ここ、ボーナスも出来高だしな♪」

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