春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第3章 8年めの片思い
………そんなの、遼くんがしなくていいんだよ。
遼くんは何もしなくていいの。
傍に置いてくれるなら
いくらでも私がしてあげる。
「それで。
大学の方には、今月で辞めますって言ってあるんだろ?」
会議室から出る準備をしながら、遼くんが聞いてきた。
「うん……
忘れられてるかもしれないから、明日もう一度ちゃんと教授に話してみる」
「あの爺さん、とぼけて知らないふりしそうだから
退職届的なものを用意しといた方がいいかもな」
「えぇ~大袈裟な……
水曜と木曜しか行ってないんだし、大して役立ってないよ」
「週に2回とはいえ、お前の力量を失うのは痛手だと思うぜ」
私もイスから立ち上がって、出口に向かう遼くんの後についていく。
その背中を見つめてると、急に遼くんが振り返った。