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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第5章 誘ったのは、私です

彼の指が、私の唇を撫でた。



『……何度も俺の舌に、絡ませてきたよね』


『…………』


『もっとしたいって思ったから、俺を部屋に入れてくれたんでしょ?』



桜の下で交わした熱いキスを思い出して、顔に熱が集中する。


彼に触れられた場所が、ジンジンと火照っていく。



『……早乙女くん……』

『雪斗』

『…………っ』

『みんな、俺をユキって呼ぶよ』



大きな瞳が、有無を言わさずそう呼べって命令してる。


………クラクラしてしまう。



『……ユ……キ……』



胸がきゅうっと狭くなる感覚。


名前を呼んだだけなのに、学生である彼との距離がぐんと縮んだ気がした。


尋常じゃないほど、ドキドキして


心がついていけないのに、体だけは熱く何かを欲している。

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