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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第5章 誘ったのは、私です

「分かった。
……分かったよ、春ちゃん」



語気を強めた私を、宥めるように


ユキが私の頭をポンポンと叩く。



「ごめんね、立ち入った質問しちゃって」

「…………」

「春ちゃんがその男を何よりも好きだってことは、月曜の夜に充分知ったから。
……確認しただけ」



……充分、知った……?


その言葉で、ユキを見返すと



「だけど俺、諦めきれないんだよね」

「…………!」



最初の、爽やかな笑顔に戻ったユキは


私を抱きしめたまま続ける。




「春ちゃんの想いが届くまでの、穴埋めでいいから

俺の傍に居てくれない?」


「…………!」


「肩書きは何でもいいよ。

友達でも、セフレでも、相談相手でも。

春ちゃんにとって、都合のいい人間にしてくれればいい」


「…………っ」


「……ただ

助手と学生っていう、他人に近い関係を突破したいんだ」

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