春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第6章 先輩と後輩
早乙女 雪斗。
友人達からの愛称は、ユキ。
4月1日にハタチの誕生日を迎えた、空間デザイン科の2年生。
春生まれなのに雪斗と名付けられたのは
生まれた日の朝、季節外れの粉雪が舞っていたから。
………本人のからの情報は、たったこれだけ。
とにかくイケメン過ぎて、芸能界からスカウトまできている。
爽やかな笑顔と甘い声は、一度ハマると抜け出せない中毒性を持つ。
トークが面白過ぎて、彼がいるだけで明るくなるから、男女問わずモテモテ。
センス抜群、髪型も私服もお洒落だから、彼の真似をしたバーターが構内に溢れている。
それらを全く鼻に掛けずに交わすスマートさは、もはや誰もが羨み崇拝する。
『……崇拝……?』
……助手さんや、仲のいい数人の学生にさりげなく聞いただけで
出るわ出るわ、軽く引くほどのユキの実態。
そして、誰もが口を揃えて言っていたのが………
『女関係はまったくもって不明。
人気過ぎて、“ みんなのユキくん ” って暗黙のルールが出来ちゃうくらいだから
真相は闇に包まれてるのよねぇ~』