春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第6章 先輩と後輩
そんな事無いよって、否定しながらも
沙月の言葉が素直に嬉しくて、くすぐったくて心が躍る。
クールな遼くんが、大学の後輩である私に優しくしてくれること
たまに間違えて、学生時代に呼び慣れた名前で呼んでしまうこと
私にとっては、この上ない幸せで
ただ傍にいられるだけで、こんなにも心が暖かくなるんだ。
「……沙月、お前マジで酔い過ぎ」
少し声のトーンを落として
何故か真面目な顔をして、宮本さんがそう告げた……
その時
「あ、加賀谷さん!」
「わ~~本当に来た!!」
入口付近から、ワッと歓声が上がる。
皆が振り返った方向に、ダウンベストを着た遼くんの姿が見えた。
後ろに2人、企画部の同僚がいるけど
皆の視線は、遼くんだけに集中している。