春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第6章 先輩と後輩
主役の芹澤さんが、どこにいるのかさえ分からない程
出席者20人程だった送別会に、倍以上の社員達が押し寄せたのは
間違いなく、宮本さんと遼くんの飛び入り参加が決まったからだ。
部長を始めとして、企画と店舗開発の面々から、総務の女の子達まで
同期会と呼ぶには到底収まらない、このお店を貸し切る程賑やかな飲み会となっている。
「さすが春菜、愛されてるねぇ♡」
切替えの早い沙月は、ニコニコの笑顔に戻って
空いた席を見つめながら続ける。
「加賀谷さんが飲み会に参加するって言ったのは
本当は春菜のことが心配だったからだと思うよ」
「…………!」
「さっきからその席に座ろうとする人達が、ちゃんと退散していくのも
春菜だったら仕方ないって、みんな分かってるからだよね」