テキストサイズ

only one【完】

第10章 向き合う心

「も、もう…分かったからやめて」





押しつぶされそうに痛む胸。
絞り出した声は、小さくて小さくて、
さっきまで隆史が見ていたテレビの音に邪魔されて、聞こえないんじゃないかってくらい小さくて、









「やめないよ。
せっかく晶に会えたんだ。
伝えなかったら、また後悔する」









なのに隆史には、ちゃんと聞こえている。



いつもそうだった気がする。






どんな小さな言葉だって、隆史はちゃんと聞いてくれていた。



どんな些細な願いだって、隆史はちゃんと聞いてくれていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ