言葉で聞かせて
第8章 猫に恋敵
くそ
仕方ねえな
せっかく朝機嫌よく出たってのによ
俺はそいつらに近づいた
「おい」
「あ?」
「ガキくせえことしてんじゃねぇよ」
肩を掴んで話しかけると、男らは威勢良く俺を睨んだ
「うっせえな。お前誰だよ?関係ねぇだろうが」
俺の手を振り払った男は俺の肩をぐ、っと押す
「金なくて困ってるから借りてんだけじゃねぇか」
「そーだよじじい文句言うな」
おいおい
俺はじじいなんて歳じゃねぇぞ?
こら
今度は俺が男の肩を掴んで俺の後ろへ押しやる
「おい……っ」
「ケガねぇか?」
「ぇ……っ?は、はいっ……」
よく見ればカツアゲされていたのは少し千秋に似ている
とは言っても小柄な黒髪と言うだけなんだけど
俺がハンカチを差し出して涙を拭ってやっていると、それまで呆然としていた男達が流石に頭にきたのか大きな舌打ちをした
「チッ。カッコつけてんじゃねぇよ!!」
おぉおぉおぉ
いいじゃねぇか
やばい
楽しい
「はははっ……かかってこいよ!!!」
俺は喜んで男達の拳に立ち向かう
最初の男の拳をかわして、腹に蹴りを入れる
男は唾を撒き散らしながら後ろに下がった
そのうちに横から来ていたもう一人の男に頭突きをする