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言葉で聞かせて

第14章 番外編「千秋と酒」


と千秋さんが飛び起きた


記憶、残るタイプなんですね


けど、僕が謝るようなことではないですよ、と言おうとした言葉は敦史に持って行かれて


「謝るようなことされた覚えはねぇよ」


だから僕は泣いていた理由を聞いた


「どうしてあんなに涙を流されていたんですか?」


僕の質問に、千秋さんは下を向いて恥ずかしそうに俯く


「僕……昔から酔うと……あぁなってしまうんです……昨日は気をつけてたのに……」


……所謂、泣上戸ということ?


「じゃあ、何かが悲しくて泣いていたわけではないんですか?」
「……はい」


千秋さんが小さく頷くと、敦史も僕も大きく息をついた

それを見た千秋さんがびくっと怯えたように震える


「あ、違いますよ千秋さん。呆れたりしたわけではなくて」
「俺らがなんかしたわけじゃなくて良かったってことだよ」


僕達の気持ちをちゃんと言葉にして伝えると、千秋さんは嬉しそうに笑った


「そんなこと、あるわけないじゃないですか……2人とこんなにぴったりくっついて寝られて、むしろ幸せでした」
「「!」」


ズルいな、千秋さんは
そんな風に笑われたら僕達の昨日の気苦労も何もかも全部どうでもよくなっちゃう

本当、可愛い


それから敦史とたまにはお酒呑ましてもいいね、なんて話し合ったのは千秋さんには内緒
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