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missing☆ring【完】

第7章 追憶の彼方へ

陸の一周忌が過ぎた頃、綾子がアパートにやって来た。



「裕実、どうして一周忌来なかったの?」


目の前に居る綾子の強い視線から目を背けた。



私はそんなできた人間じゃない。
陸が亡くなって、陸の分まで私は前を向いて生きて行く。



そんなことは思えなかった。
陸が亡くなって一年。
まだ後悔の中にいる。



あの日から……
陸から逃げ出した、高3のあの屋上から私は何も前に進めていない。



進む術を知らない。
この悲しみから、この切なさから、抜け出す術を知らない。



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