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暗闇で恋しましょう

第10章 お買い物3

放送の事くらいは、叱責してくれた方が安心する。



「……あと」



次いでの話題があることに、ホッとする。


やっぱり、放送のことは怒られなきゃ、調子が出ない。


まあ、怒られっぱなしにもなるつもりは






「………俺は」






「胸元フリルで腰にリボン……が、いい」






その言葉で頭に浮かんだのは、無数のハテナ。


今、ひぃちゃんは、放送のことをお叱りになったのでは?


胸元フリルで腰にリボンって、それはお昼に見たワンピ…………


そこでやっとハッとする。


ひぃちゃんは、私が着るワンピースを選んでくれたんだ。


正直、こんなひぃちゃん、私には抱えきれないけど。



「っ」



そそくさと逃げる様に先を行くひぃちゃんの腕に、ガバッと抱きつく。



「うぉわ……お前なぁ」

「胸元フリルの腰にリボンついてるワンピース欲しい!あの服屋さん戻ろう!」



こんなの嬉しくない訳ない。


上機嫌になった私を見て、ひぃちゃんが何か言おうとしたが、それは音にならず消え。


代わりに出たのは



「はいはい」



子供をあやすようなそんな声。


何を言おうとしたか察しはついたけど、今はまだ、聞かない。


そんなことより今は“ひぃちゃんが選んでくれた”ワンピース!


ひぃちゃんの腕をぐいぐい引っ張り、私は売り場に急いだのだった。

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