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暗闇で恋しましょう

第11章 まだまだどうやら子供のようで






ぱたぱたぱた。


あっち行けば、ひらりと舞う裾。


ぱたぱたぱた。


こっち行けば、ふわりと舞う裾。


そう。何を隠そう。


私は今、“ひぃちゃんが選んでくれた”ワンピースを着用している。


だから、誰かさんに見せ付けてやろうと、用もないのにぱたぱた動き回ってる訳だけど……


肝心の誰かさん。


そんなこと興味の範疇にもないらしく。


顔の前で、大きく新聞を広げ、私のことを視界にさえ入れてくれない。


むぅ、と思うけど、興味がないことくらいはなんとなく察してたりする。


“ひぃちゃんが選んでくれた”と強調してるけど、あんなの所詮、私の機嫌取りに過ぎない。



“俺の過去について無駄な詮索をするな”の後押しもあるんだろうな



怒られた時の、対抗材料としては考えてたけど、無駄に詮索するつもりは、欠片も無かったんだけど。


そう思われる、ってことはそれだけまだ私に対しての信頼がない訳で。


……これだけ一緒に暮らしてるのに、少し悲しくなる。


誘拐犯と被害者で信頼も何も無いんだろうけど。


私はひぃちゃんを好きな身。


やっぱり好きな人には信頼を寄せて欲しい。

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