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暗闇で恋しましょう

第16章 回顧①

寝て、起きて、座って、寝て、起きて、座って……


何処で食事をしているのだろう。


そんな奴に筋力など備わっている筈が、ない。



っ………くそ……



ぎりっと歯を鳴らし、こんな時にならないと、自分の不摂生を呪わない。


引き摺られるように、向かった先は、箪笥の前で。


そこから、祥人は適当に服を見繕い、俺に差し出した。



「着替えろ」

「…………」

「無理矢理着替えさせてもいいんだぞ。自分に抵抗する力が無いこと、痛い程、分かったろ」

「………こんな……着替えて、どこ、行く……」

「買出しだよ。食料とか色々」



何故、と疑問に思うのは、嫌なのはもちろんのこと、さっき思い返した祥人のお決まり行動があるからで。



俺が行かずとも、お前、今日も、食料諸々も……って……?



ふと、気付く違和感。


見える祥人の手に袋が持たれていない。

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