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暗闇で恋しましょう

第17章 回顧②

噂をすればなんとやら。


祥人が帰ってきたのだろう。


ホッと胸を撫で下ろし、口を開く。



「なぁ、もう帰らないか?買ってきてくれた飲み物は、車の中でちゃんと飲むから」

「……………」



返答が、ない。


流石に着いてすぐのこの言葉は、呆れられたか。



呆れられたどころか、もしや怒ってたりして……



それはできることなら勘弁して頂きたいのだが……


恐る恐る、様子を伺うべく、顔を上げていく。


祈る気持ちで、予想は眉間を少し寄せ呆れ顔の祥人。


しかし、俺の視界には予想は愚か、祥人さえ映らず。


そこに居たのは、とうの昔、記憶の奥底に眠らせた筈の







唯一、無二、最愛、のーーーー






「ま………」

「おじさん、迷子?」





幼い声に、ハッとする。

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