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暗闇で恋しましょう

第18章 回顧③

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部屋に着き、袋を開けご対面。


初めましては自己紹介から。


ーーーもちろん、そんな和やかムードになる筈もなく。


少女は部屋の隅、小さい体をもっと小さくし、俺を怯えた目で見詰めていた。



まあ、当たり前の反応か……



訳も分からず薬を吸わされ、目を覚ませば揺れる暗闇。


その暗闇から解放されたかと思えば、次に待っていたのは知らない場所と知らない男。


ちょっとしたらホラーに近い。



「………」



変に刺激しても怖がられるだけだと思い、動かず喋らず。


かれこれ1時間は経った頃だろうか。


俺の耳に小さな小さな音が届いたのは。



「くちっ」

「………」

「っ……」



俺から出たには可愛すぎるそれは、少女のくしゃみ。


少女が一段と怯えを見せたのが分かった。

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