テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第18章 回顧③

とりあえず、体を温めてあげなければ。



温めるもん……この部屋にんなもんあんのか?



考えながら体を起こす。


目の端には、体をビクつかせる少女。


敢えて見なかったことにし、心の折れをなんとか食い止める。


“温める”、このワードで連想されるもの。


毛布 暖房 ココア ホッカイロ ……



どうしよう

何一つ、この部屋にある気がしない



探せば見付かるものはあるのだろうが、俺の目の端に映る“それ”が俺の怠惰心を擽る。


探さなくてもすぐそこにあるそれは、あまりに魅力的で。


とりあえず、拾い手に持ってみる。


ふわふわで、大きいし、少女のサイズならこれで十分包めるのでは……?


畳んであるところを見るに、おそらく不使用新品。


彰人が置いていったことが伺える。


これで温まるかどうかはさておき、無いよりはマシだろうとそれーーバスタオルを手に1歩、少女に近付く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ