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暗闇で恋しましょう

第18章 回顧③

杏は“家族”では有り得ない感情を、何故か俺に持ってしまったからな。


あんなに怯えていたのに、立派過ぎる進歩だとは思うけど。


あんなに怯えていたからこそ、あの感情を持った理由が分からない。



………もういっそ、そういう意味で家族になっちまうか?

“夫婦”的な



……犯罪の塗り重ねとは正にこの事。


というか、普通に杏をそういう目で見れない自分がいる。


だってあいつは、俺にとって“娘”でしかない。



それもまあ、大分おかしな話なんだけどな



ふぅと1つ、息を零し、すっかり慣れたスマホの画面をつける。


その画面には、電話だのメールだのの通知が1つもなく、逆に恐怖を感じてしまう。


帰ればきっと、祥人がいるんだろう。


一体、説教は何時間コースになることやら……


………杏は、立ち直ることが出来ただろうか。


目を閉じれば、昔を思い起こしたからか、幼い頃の杏がはっきりと思い浮かぶ。


大丈夫。杏の調子が戻っていたとしても、俺は飲まれない。


目を開け、俺はゆっくり帰路についたのだった。

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